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Webサイトに関する、持ち主側の誤解

公開日: 2008年12月14日 (日) 23:56  – 更新日: 2009年07月18日 (土) 23:21

どのページから見られても全ページ巡れるサイトを作ってます、Web上に見られて不都合な“閲覧可能ファイル”は一切ありません…という方には、“釈迦に説法”となりそうな内容です。
ただ、そうじゃない方のほうが圧倒的に多いなあと感じる事が頻繁にあるため、敢えて文書化しておく事にします。

“ホームページ(*1)”が纏う幻想

某有名ホームページ作成ソフトのお城の絵が象徴している様に、「ホームページは私の城(家)で、内部はプライベートな空間だ」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、「門から入って家主に挨拶してから、部屋に通される」とか、書籍と同じ様に「表紙から順番にページを読み進むものだ」と理解されていたりします。
その辺りは、入門者にわかりやすくとっつきやすい説明をする為に、或いはサイト内の案内(ナビゲーション)を判りやすくする為に使用された比喩が、余りにも身近な物過ぎて、イメージとしてがっつり刷り込まれてしまった結果なのではないかと思います。ある意味しょーがない。

だがしかし、その理解は非常に危険なものです。

実際のwebサイトは、“どこまでも広がる吹きッ晒しの大平原の一角に、剥き出しの私物を置いてある”という代物に過ぎないからです。地べたに置かれた幾枚かの紙片は、分類ごとに(小枝か何かで引っ掻いて)地面に描かれた境界線で“まとまってます”と示されています。紙片と紙片の繋がり・参照関係は、これまた地面に描いた矢印で示されています……そういう、ある意味非常に原始的な光景。
紙片は剥き出しですから、その場に行く事が出来れば、誰にだって中身が見られます。本とは違って開く表紙も無く、アクセスしました=中身が見えちゃいました、です。
閲覧者は、参照関係を示す矢印を頼りに紙片を渡り歩く事が普通なのですが、矢印がなくても紙片の置き場所に行けない訳ではない、というのも覚えておいた方が良いです。何処からでも歩いて来られますし、誰がどこから新たな矢印を描くか判りません。

思いっきり全方向に開放された、すっけすけのフリーゾーン。歩行を阻む壁もなければ、視線を遮る目隠しもない……それが実情です。
お城と平原

“お城幻想”が招く災難

誰にでも入れて誰の目にも触れる可能性がある……そういう場所は、公に開かれている空間であると(法的に)看做されます。町にある公園なんかと似た扱いです。そう看做されているweb(www。ワールド・ワイド・ウェブ)は、世界中のファイルが無数のリンクによってつながりあった空間であり……個人のwebサイト“内”と何らかの断絶がある訳ではありません。webは外ではないのです。
web上で適用される基本的なルールは、個人のwebサイトにも及びます。サイトという単位では、“開かれた場であるという性質”を区切る事ができません(仮に“webでは適用されるが、サイトでは適用されない”という決まり事があったら、実際に決まりが適用される場所はあるのか?と考えてみましょう。自分トコ以外ですかね?)。サイトのローカルルールというものは、訪問者の厚意によって守られるに過ぎません。つまり、厚意に値しないと思われれば、法的根拠の無い要請は無視されます。

其処の所を前提に考えないと、色々拙い事になります。

寛いだ自宅と同じ様な感覚で裸族になれば、全世界同時公開無修正ストリップショーの主役になれます。親しい友達しか居ない隠れ家の心算で犯罪自慢をすると警察に通報されますし、本人の前ではとても言えない様な悪口を書いていれば、その人を大切に思う人から憎しみが返ってきます。これらは、ありもしない“内と外を隔てる壁”が存在すると信じた結果です。
不特定多数の観客の居る前で、“赤の他人の前で晒すべきではない事”をしてしまう……“私はお城に住んでいる”という幻想には、日常生活ではそれなりに発揮している筈の、最低限の警戒心や良識を投げ捨てさせる魔力でもあるんでしょーか。

“扉に鍵を掛ける”事は可能か?

公の場所では無難な事しか言えない……そんな事はありません。発した情報に関して、発言者たる自分に返ってくる反応(同意・反論・揶揄・非難、あるいは見当違いの悪口、正しいが厳しい指摘…とか、そういったもの)を受ける覚悟があるのなら、過激な事を言ったって構わないし、表現の限界に挑戦したって良いんです。
ま、犯罪は駄目ですが。
webだから自由だ、自分のサイトだから勝手だ、という特殊な事情がある訳じゃなくて、仮にも不特定多数に見える場所でやるならば、自分がやった事に対する皆の反応は、現実世界のそういう場所での反応と大差ない*2)というだけなんですね。自分に対する批判が許せないならば、皆の前でやっちゃいかんのです。

それでも“公開はしたいが知らない人にとやかく言われたくない!”という場合には、個々のファイルに鍵を掛けて、許可した相手だけが開封出来る様にするという仕組みが必要になります。見せたくないファイル全てにそういう仕掛けを施さなくてはなりません。
最初に記述しましたようにサイトやフォルダ(要するにディレクトリ)は壁じゃありませんから、“ファイルを隠す(普通のリンクをしない)”とか“入口に鍵を掛ける”とかいう方法を考えている限り、部外者の遮断は上手く行きません。個々にガッツリ鍵を掛けておかない限り、(特に穿り出そうと思わなくても)ウッカリ見てしまう他人は居るもんだと思って下さい。検索エンジンで調べ物をしていると、そういう事は儘あります。
意図しない訪問者を責める事はできません……誰にでも見られる状態で、平原に置かれているんですから、しょーがないのです。

前提条件が変われば、怒らないで済む

色々と理由はあるのですが長くなるので結論だけ書きますと。
HTML及びJavaScriptに特に詳しい訳でもない人は、無料のレンタルサーバでwebページを“鍵つき化”する事は出来ない、と思っておいた方が良いです(たとえ隠しページを許されていたとしても)。一般に配布されているスクリプトを導入する程度では気休めにしかならない(*3)ので、念のため。

何で私のホームページに、玄関以外から入って来るの?泥棒みたいな侵入者!……という怒りや不安を覚える時期が、多くの人に一度はあると思います(ブログからwebに参入した人は、そうでもないかも知れない)。しかし、ここまで書いて来たとおり、サイトという1つの確固たる塊が存在する訳ではなくて、webサイトはwebの中に溶け込んでいる一部な訳で、どこでどう繋がっているか判りません。そして、壁もありませんので移動が制限されていません。基本的に、自由に歩けるところなのです。先にローカルルールを読む機会があったとは限りません。
客人は悪意があってやってる訳じゃないんだ、と知るだけでも、少し気が楽になりはしないでしょうか。あなたは、蔑ろにされていないんです。

それが公開状態にあるのならば、webページへの想定外の訪問者は、侵入者ではありません。
webページは、想定している順序で読まれるとは限りません。
壁が無いなら当然ともいえるこの結果を、どうか必要以上に忌み嫌ったり恐れたりしないでいただければと思います。

お城の壁は壊れたのではなく、元々無かったんですよ。

脚注

補足

*1)ホームページ

ホームページとは、本来“ブラウザのホームボタンに登録されたページ”の事で、Webを見て回る拠点になるから“ホーム”的な“ページ”なのであって、“webサイト一塊”を示す言葉ではありません。ここで云う“ホーム”は、家という意味ではないです(建物や家庭的に)。
サイトとして想定している範囲に含まれる文書群を見て回る拠点となるページという意味で、所謂トップページとかインデックスページなんかを“ホームページ”と呼ぶのは、(広い意味では)多分間違っていないと思います。
日本国内の世間的にはwebサイト=ホームページだという認識の方が広くまかり通っているので、“常識”としてはそれを認めておかないと話が進まないかも知れません。しかし常識というのは単なる共通認識であり、正しいとは限りませんし時代によって変化するものでもあります。意思疎通が難しくなる混乱を訂正する努力は必要でしょう(極端な例だと、ブラウザ使う訳でもないネット関連サービス全部を「ホームページ」って呼ぶ人が居て、何を相談されてるのか理解出来ない事がある)。

*2)現実世界のそういう場所での反応と大差ない

正確に言うと、web上での発言(文章や映像としてファイル化して発表する)には、それが例え日記帳の愚痴・ボヤキの類であっても道端で大声で放言する以上に重い責任があると考えた方が良いです。発せられた声は居合わせた人しか知り得ずに消えてしまいますが、web上での発言は長期間に渡って誰にでも知り得る状態になっていて、紹介参照されたり引用されたりして拡散したら回収できませんので。何時までも残ります。普段気軽に言っている様な無責任な悪口・中傷を書いたらどうなるか…。
web上での発言が大事になりやすいと思われているのは、発言者側が自分の行為の重みとそれに伴う責任を軽く見積もりすぎているから、殊更にそう感じるのだ…という側面もあるでしょう。ま、それだけじゃないでしょうけどね。

*3)気休めにしかならない

アクセス制御の手段としてJavaScriptが無意味とは言いませんけれど、“既存のページにタグを貼り付けるだけで云々”は、ほぼこの但し書きに該当すると思って良いです。JavaScriptを実行しない環境を考慮して作ってあれば良いですが……そうであってもどのみち、ちょっと知識があれば突破可能ですので、拒否する相手を煽る様な表示はしない事をお勧めします。気を大きくして安全な強度は、ありません(安全なら吼えるってのもどうかと思いますが)。
内容が外部に漏れた時のダメージが大きい危なっかしい人ほど、ツールの性能を過信しています。過信しているから大胆になるのか(お城幻想効果で)。

お知らせ

2010/03/27

素材依頼受付期間は、2010/04/01~2010/06/30です。
本業が多忙の為、申し訳ありませんが、それ以降の受付は休止致します。再開時期は未定ですが、生活が安定したら復活するつもりはあります。気長に生温くお待ちください。
(依頼ではないもやっとしたご要望については、随時承っております。どのページからでも拍手で適当に送れますし、私も適当に対処します)

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